ウイルス感染症の薬

インターキャット®

犬や猫の感染症の治療

【監修】日本獣医生命科学大学
獣医内科学研究室 松本 浩毅 先生

  1. 抗菌薬とは
    細菌の増殖を抑制したり、殺したりする働きのある薬です。細菌の感染症には有効です。原因となる細菌(原因菌)は様々で、細菌によって効果のある抗菌薬と効果のない抗菌薬があるため、原因菌を特定して治療を行うことが肝要です。ただし、原因菌を特定するための培養検査には日数を要しますので、その結果を得る前から原因菌を推定して抗菌薬の投薬を開始することがあります。
  2. 抗生物質とは
    抗菌薬のうち、細菌などの微生物から作られるものを抗生物質といいます。抗菌薬には、化学的に作られるものもあります。
  3. 抗菌薬はウイルスの感染症には効きません
    抗菌薬には、ウイルスの増殖を抑制したり、殺したりする働きはありません。人の風邪のような症状をきたす犬のケンネルコフや猫のキャトフルと呼ばれる呼吸器病の主な原因はウイルスの感染です。また、パルボウイルス感染症のような犬と猫で死亡率の高い病気の原因もウイルスの感染です。ウイルスと細菌が一緒に感染する場合もありますが、細菌の感染を伴わないウイルスの感染症に抗菌薬を使用しても、治療効果がないばかりか副作用のリスクがあります。
      細菌 ウイルス
    抗菌薬(抗生物質を含む) ×
    抗ウイルス薬 ×
  4. 抗ウイルス薬とは
    ウイルスが体の細胞に侵入したり増殖・拡散したりするのを阻止する働きのある薬です。人ではインフルエンザ薬や肝炎ウイルス薬など様々なものがありますが、その多くは犬や猫では安全性が確立されておらず、副作用が現れるものもあります。そのため、犬や猫のウイルスの感染症では動物用の抗ウイルス薬を使う必要があります。国内で動物薬として承認されているのはインターフェロン製剤だけです。
  5. インターフェロン製剤とは
    体に元々あるインターフェロンと同じく、ウイルスの増殖を抑制する働きのある薬です。ウイルスを直接に攻撃するのではなく、細胞の表面にあるレセプター(受容体)に結合することで、ウイルスの増殖を抑制する抗ウイルス蛋白(たんぱく)質を誘導します。
  6. インターフェロンの
    作用メカニズム(図)